▲左から安芸市の山本美栄さん、香南市の足達和世さん、香美市の西村直子さん
▲香美市の「シカドッグ」

はちきんパワーで「食」おこし

べふ峡温泉鹿肉加工品製作部 西村直子さん
安芸「釜あげちりめん丼」楽会(AKG21)会長 山本美栄さん
香南市観光協会事務局長 足達和世さん

 高知には「はちきん」という言葉がある。男勝りの女性に冠される。その意味は諸説あるが、男性以上に頑張る女性をこう呼ぶのである。
 「はちきんパワー」の高知で、最近顕著となっているのがご当地グルメの開発である。しかも、どれもが女性が深く関わっている。

香美市の「シカドッグ」

 平成23年5月21日、高知県立歴史民俗資料館(岡豊城跡)において開催された「第2回土佐の食1グランプリ」で、グランプリの栄冠に輝いたのが香美市物部町の「シカドッグ」だ。このメニューを開発したのが、べふ峡温泉鹿肉加工品製作部の西村直子さん。
 ニュージーランドに約10年間住んで、2009年に帰郷したが、高知ではシカ肉は「獣臭い」と不人気で肉が余っていた。シカ肉は、日本以外では高級食材なので、きちんとした形で売り出せば人気が出ると考え、「シカドッグ」を開発した。
 シカ肉の無添加ソーセージと相性のいいパンを探すのが大変だったという。食べ歩きの結果、地元のパン屋でつくられている歯ごたえの良い国産小麦・天然酵母のパンを選んだ。高知産野菜のたっぷり入ったソースが味の彩りを添える。 この味に魅せられた人たちが、べふ峡温泉をめざして集まってくる。
 「美味しいものを食べて幸せ気分を味わってほしい」と西村さん。「シカドッグ」にはシカ肉への愛着と地元に対する愛情があふれている。

▲釜あげちりめん丼

安芸市の「釜あげちりめん丼」

 安芸市で話題になっているのが「釜あげちりめん丼」だ。たっぷりの「ちりめんじゃこ」は、ほのかな潮の香りとクセのない繊細な味わいの逸品。何杯でも食べたいと思わせる。
 この「釜あげちりめん丼」を考案したのは安芸まちづくり委員会。ふるさと安芸の良さを食べもので伝えたいということがメニューの原点となった。
 「釜あげちりめん丼」の命は素材の新鮮さ。シラスバッチ漁で水揚げされた獲れたばかりの魚を釜あげし、日照時間日本一の太陽の下で天日干し。海と太陽の恵みをたっぷり受けた、ふわっふわの「ちりめんじゃこ」に安芸名産柚子酢をかける。2005年に、安芸町づくり委員会のメンバーが何度も試食を重ねて、現在の味をつくりあげた。
 安芸商工会議所女性会会長などをつとめる安芸「釜あげちりめん丼」楽会(AKG21)会長の山本美栄さんは、市内外で「釜あげちりめん丼」普及のために奮闘している。合言葉は「元気じゃこ」「頑張るじゃこ」。今年の五月に放送されたNHK「しこく8~四県対抗! ふるさと自慢」で、そのパフォーマンスが話題になり、「釜あげちりめん丼」に注目が集まった。
 「釜あげちりめん丼」は、現在15店舗でその味を楽しむことができる。

▲香南にら塩焼きそば

香南市の「にら塩焼きそば」

 麺特集でも登場した「香南にら塩焼きそば」の開発の中心となったのが香南市観光協会事務局長の足達和世さん。
 観光協会では、にらの生産日本一の香南市をアピールしようと「にらプロジェクト」を立ち上げた。香南市内の飲食店を食べ歩くスタンプラリーで、市内観光につなげるというものだ。
 「香南にら塩焼きそば」のエピソードは、「高知のご当地グルメ」のページをご覧いただくとして、「香南にら塩焼きそば」に賭ける熱い情熱は並大抵のものではない。
 足達さんの運営する「局長のブログ」は、FC2の四国地方ランキング2位。そのブログで「香南にら塩焼きそば」と地域の情報を発信する。「焼きそば用の鉄板を運ぶのは重いから男性に手伝ってもらうけど、愛嬌と気だては誰にも負けない」と足達さん。
 塩ダレがアクセントとなったあっさり味の「香南にら塩焼きそば」は、日本一生産を誇る「香南にら」のように、日々成長しているのである。

 

高知の「はちきんパワー」に学ぼう

 食べものによるまちおこしは、「食の価値」の創造が欠かせない。地域のアイデンティティを孕み、おいしくて独創的なものであり、取り組む人々の熱い気持ちがなければ注目を得られない。
 今回、紹介した高知の食は、女性たちの元気あふれるアプローチが成功の原動力となった一例だ。ふるさとを愛する熱い心を、私たちは高知の女性たちから学びたい。

四国B級ご当地グルメ連携協議会(四B連)
一般社団法人 四B連企画

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