山内満子(やまうち・みつこ)
▲たべ鯛バーガー
▲包丁汁

寄稿:浜の母ちゃんのキッチンカーが往く

遊子漁業協同組合女性部 部長 山内 満子

「フェスタ」でデビュー

 私たち遊子漁協女性部のキッチンカーがB級グルメフェスタに初めて出展したのは、昨年暮れに東温市で開催された「四国B級ご当地グルメフェスタ」だった。雨に見舞われた初日は遊子の元気をアピールすることに専念し、二日目に期待した。二日目は、向こう岸が見えないくらいの人出で、商品は足らなくなるし最後尾の把握に四苦八苦するしで、経験不足を存分に味わった。
 参戦には清水の舞台から飛び降りるほどの覚悟が要った。私たちにとって、B級グルメフェスタはテレビの中の行事くらいに考えていたからだ。
 エントリーするにあたり、「B級ご当地グルメ」の意味とメニューを私たちなりに考えた。遊子でのおきゃく(おもてなし)に必ず登場する「包丁汁」はすぐ思いついた。しかし、一体何食提供したらいいのだろう。五十食? 百食? 最終的につけた見当は五百食だった。その未知の数字に、決めたらやらんといけん、どうしたら五百食提供できるんだろう? とみんなで知恵を出し合いながら、何とか見通しをつけた。しかしその時には締め切りが思いっきり過ぎていた。そこで諦めないのが浜の母ちゃんである。
 電話で思いのたけを伝えたところ、直ぐに四B連の奥山さんが遊子まで出向いて下さった。「遊子の包丁汁」を試食していただき、「これなら」とどうにか入れていただくことができた。その時、他の取材の撮影で一緒に作っていた「たべ鯛バーガー」を奥山さんは見逃さなかった。これも面白いと、二つともエントリーする事となった。

▲松岡真喜男組合長と女性部員

「笑顔」に将来を託す

  「笑顔で取り組めているか」「楽しさが伝わっているか」を、製造中、販売中、いつも心掛けている。私たちが楽しくなければ、誰も振り返ってはくれない。不景気で冷めきっている浜で注目を集めるためには必須の心掛けだ。おかげで、どこに出かけても何を作っていても「楽しそうやね」と声掛けをしていただく。「笑顔」に、地域の活性化と女性部の将来を託しているのだ。
 振り返るほどの歴史はないが、スタートは三名の有志のみだった。「やろう」という意欲より、「やらなくては」の責任感のみでがむしゃらに突き進んできた。大変なことも少なくないが、それを楽しみに変えることができるのも女性部の特徴だろう。集まるとさまざまな話題が飛び交い、まるで井戸端会議のようだ。
 家族と地域の協力に支えられているのは言うまでもない。共通の思いがあるかぎり、浜の将来は大丈夫と思う。
 出会いも重要だ。「シンポジオン八幡浜」がきっかけで「内子フレッシュパークからり」の沖野智寿子さんと知り合い、『遊子のじゃがいもアイス』が誕生した。
 南予を中心に活動していた私たちが東予に行く機会が増えてきた。毎回、見知らぬ土地にワクワクしながら出かけるのだが、たいていは道に迷ってしまう。迷っている時間も楽しみのうちである。土地の人と話すチャンスが増えるからだ。そんなこんなで辿り着いた時の感動は何ものにもかえがたく、その日の目標の半分を達成した気分になる。なにせ、浜の母ちゃんの車は、走っているだけで宣伝になるのだ。
 駆け出したばかりの弱小グループだが、こんな感じで肩ひじ張らず、和気あいあいとした雰囲気の中で続けていくつもりだ。

四国B級ご当地グルメ連携協議会(四B連)
一般社団法人 四B連企画

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