森 秀夫(もり・ひでお)
▲内子の町並み

 

ブームに終らせない
『麹』の活用について

森文醸造株式会社 代表取締役 森 秀夫

伝統の味づくり120年

  内子の町に『森文醸造㈱』が誕生したのは明治26年。初代の森文太郎が『森文商店』を創業し、米酢製造を開始しました。その後、二代目の傅三郎が味噌の製造に着手し、大正9年には醤油製造に進出し、今年で麹づくり120年になります。創業当時は「米麹」をつくり、「米麹」からアルコール発酵で「酒もろみ」にして「米酢」を醸しました。
 我が社の基本は、「麹づくり」で、昨年来より、この「麹」がブームになり、「塩こうじ」として広く家庭に普及しつつあります。
 もともと、「米麹」のうまみは素晴らしく、分析表にもあるように、天然のアミノ酸がいっぱい含まれています。
 我が社では、「米麹」を糖化して「甘酒」をつくっています。この「甘酒」は、古くから北海道のジンギスカン料理や東北の魚料理に使用されています。開き魚のうまみを引き立てたり、くさみをとる事に「米麹」は役立っているようです。我が社の「米麹」は、粒をつぶすことで料理に応用しやすく、業務用として広く使用されています。
 また、「醤油麹」も最近話題に上ることが増えてきました。「醤油麹」は、原料である大豆、大麦、小麦からのタンパク質のうまみが多く含まれ、日本料理には欠かせないものとなっています。醤油の元である「醤油麹」は「醤油諸味」とも呼ばれ、一般的に塩分が高く、料理に使いづらいといわれていますが、我が社では低塩分で仕込み、粒をつぶさない諸味づくりを行うことで、料理に利用できる「醤油麹」としています。
 「醤油麹」は、豚肉、焼き魚などの味付けとともに、きゅうり、なすなどの野菜にもすごく合う味となっています。また、粒がきれいで低塩分、うまみの強いものとなっています。愛媛県では『ひしお(醤)麹』として、古くから利用されています。

▲こだわりの「麹」

だし入たまごかけ醤油までの応用

 今まで「塩麹」「醤油麹」のお話をしましたが、この「麹」を応用して開発した、だし入り「たまごの醤油」についてお話しします。
 麹のうまみに天然かつお、しいたけ、昆布、煮干しのダシをプラスしてブレンドすることにより、うまみに特長のあるたまごかけ専用のだし入り醤油「たまごの醤油」も醸しています。また、この「たまごの醤油」は、丼にかけても美味しく、巾広く料理調味料として応用できます。
 「麹」からは日本人の食生活には欠かせないアミノ酸、ミネラルなどの栄養補給もできます。私たちは、この素晴らしい食材である「麹」を応用して、製品を開発して参ります。
 「麹づくり」は、日本人の米食文化、穀類食文化に根ざした「伝統食」であるということです。我が社は、「味噌」「醤油」「酢」「果実ドレッシング」「つけもの」など、さまざまな製品を通じて日本の食文化を次代の人々に伝えてきました。これらの製品の基礎となっているのは、我が社の伝統の「麹づくり」です。これからも「麹」や日本の食文化を学び、継承していくことで、愛される製品を提供して参ります。
 皆さんも「麹」を忘れることなく、『森文醸造㈱』の伝統の味をお楽しみください。

森文醸造株式会社
〒791-3301
愛媛県喜多郡内子町内子2240-1
TEL 0893-44-3057
FAX 0893-44-4267
http://www.mori-bun.com

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一般社団法人 四B連企画

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