ブームに終らせない
『麹』の活用について
森文醸造株式会社 代表取締役 森 秀夫
伝統の味づくり120年
内子の町に『森文醸造㈱』が誕生したのは明治26年。初代の森文太郎が『森文商店』を創業し、米酢製造を開始しました。その後、二代目の傅三郎が味噌の製造に着手し、大正9年には醤油製造に進出し、今年で麹づくり120年になります。創業当時は「米麹」をつくり、「米麹」からアルコール発酵で「酒もろみ」にして「米酢」を醸しました。
我が社の基本は、「麹づくり」で、昨年来より、この「麹」がブームになり、「塩こうじ」として広く家庭に普及しつつあります。
もともと、「米麹」のうまみは素晴らしく、分析表にもあるように、天然のアミノ酸がいっぱい含まれています。
我が社では、「米麹」を糖化して「甘酒」をつくっています。この「甘酒」は、古くから北海道のジンギスカン料理や東北の魚料理に使用されています。開き魚のうまみを引き立てたり、くさみをとる事に「米麹」は役立っているようです。我が社の「米麹」は、粒をつぶすことで料理に応用しやすく、業務用として広く使用されています。
また、「醤油麹」も最近話題に上ることが増えてきました。「醤油麹」は、原料である大豆、大麦、小麦からのタンパク質のうまみが多く含まれ、日本料理には欠かせないものとなっています。醤油の元である「醤油麹」は「醤油諸味」とも呼ばれ、一般的に塩分が高く、料理に使いづらいといわれていますが、我が社では低塩分で仕込み、粒をつぶさない諸味づくりを行うことで、料理に利用できる「醤油麹」としています。
「醤油麹」は、豚肉、焼き魚などの味付けとともに、きゅうり、なすなどの野菜にもすごく合う味となっています。また、粒がきれいで低塩分、うまみの強いものとなっています。愛媛県では『ひしお(醤)麹』として、古くから利用されています。 |