四国B級ご当地グルメの地域活性化力
四国B級ご当地グルメ連携協議会 常任顧問 奥山 忠政
「B級ご当地グルメ」とは
(1)「四国B級ご当地グルメ連携協議会」(略称:四B連)は、「B級ご当地グルメで四国を元気にしよう」と2010年8月、松山市で発足した非営利団体で、「B級ご当地グルメ」の発掘・連携・発信を使命としています。
(2)「B級ご当地グルメ」という言い方、あらためて考えますと、なんだかヘンなところがあります。
まず「B級」。言葉そのものは60年代にあったようですが、当時は「質的に」ワンランク下といった意味の普通用語でした。
80年代半ばごろ、「味はA級、値段はB級」というキャッチコピーが使われるようになって意義が一変しました。「高級店の料理が庶民に手の届く値段で食べられる」といった意味の、「値段」に重点をおいた表現に使われるようになったのです。老舗の天ぷらやウナギ、昼食のコースで数千円のものが、丼にすると千円前後で食べられる。これが「B級」の内容でした。「丼」がポイントです。
つぎに「ご当地」。言葉自体格別のものではありませんが、愛郷心をくすぐる響きに〝NHK様〟の気配を感じます。
さいごに「グルメ」。フランス語(gourmet)本来の意味は「食通」です。それがいつしか「食べ物」を指すようになってしまいました。「ミシン」「拉麺」「アルバイト」などと同様、原語の意味を替えてしまうのは日本人の得意技のようです。
(3)以上をふまえて、さる有力なB級ご当地グルメによるまちおこし団体は「地域で長年にわたり日常的に食べられている」ことを条件としています。これに対し、わたしは「地域の特色や夢を託したお手軽値段の珍しい食べ物」としたいと考えています。この定義に四B連の存在意義がかかっていると申しても過言ではありません。
(a)一つは「創作料理」や「復活料理」も大いにけっこう、という点にあります。長年にわたり地元に根づいているという「グルメ」は四国にそう多くはありません。問題は数の少なさにあります。要するにパワー不足なのです。
(b) 二つ目は担い手を問わない点です。営業者でもいいと言っているのです。商売であっても地域の食材を使い、雇用を生み、客を呼び込み、利益をあげて税金を納めてもらえれば、立派な地域貢献ではないでしょうか?
(c)三つ目は「珍しい食べ物」という言い方です。「美味しい」とは申しておりません。
高知県香南市に「中日(そば)」という麺料理があります。シラスを釜揚げした煮汁に中華麺を入れたもので、中国と日本のコラボレーションだから「中日」と呼んでいます。「ややまずい」のが特徴だそうで、それなりに地元の人たちに愛されており、珍しがって各地から客が来ています。じつはわたしも先日、安芸市の帰りに食べてまいりました。予想以上の味で、「ややうまい」といった印象でした。
「美味しい」というのは相対的な感覚です。アミノ酸や核酸以外の、メンタルな要素が大きなウエイトを占めています。懐かしさ、思い出、エピソードなどです。尊敬する人や恋人に「美味しい」と言われると美味しく感じるものです。「美味しいと思うから美味しいのだ」という、非論理的なようで真面目な議論もあります。
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