うどん県のラーメンの聖地
「うどん県」に、とびきり美味しいラーメンがあると聞き、三豊市に駆けつけた。三豊鳥坂ICから、県道220号線を進んでJRみの駅からの道を右折すると、左側にめざす瓦葺きのラーメン店が見えてくる。
「盛」の文字が入ったのれんが目印の店が『讃岐ラーメン はまんど』。オーナーの森敏彰さんは、「讃岐うどん選手権」の初代チャンピオンで、「麺通団」メンバー「盛の大将」でもある。麺に対する深い造詣、多くの体験に裏打ちされた鋭敏な味覚と分析は、メンバーの認めるところだ。
うどんに負けないラーメン
もともと、人気の居酒屋を経営していた。店で出すラーメンの美味しさが評判になったので、ロードサイドに出店すると、これも話題となる。
しかし、うどんに対抗できるラーメンではないと、讃岐うどんを研究。3年間、各地のうどんを食べ歩き、徹底的に分析した。
讃岐うどんの店で500円払うと、何杯も食べることができる。その安さに対抗できる価値のあるラーメンでなければならない。
目指したのは食堂のラーメンだ。巾広い年齢層の人々に愛され、奇をてらわず、うどんのような食感を持つラーメンである。また、地元素材を使用することにもこだわった。
すすって食べるラーメン
ラーメンは、「はまんど」「中華そば」「讃岐そば」「白湯そば」「おまかせ」の5種類だ。店の名を冠する「はまんど」はもちもちの平打麺に、魚介系と動物系のコクのあるダブルスーブがからむ。背脂が乗っているがコッテリ感はなく、柔らかくてスッキリしている。
森さんは「レンゲを使わず、うどんのようにすすり込んで食べて欲しい」という。柔らかくてコシがある平打ち麺をまったりとしたスープとともに流し込むと、心の中が温かくなってくる。
森さんの言葉が、食べてみるとすんなり理解できた。うどんと共存する珠玉の逸品、香川県のすべてをすすり込んで味わえるラーメンなのである。
美味しいラーメンを食べてもらうため、午前1時にスープを仕込み、開店の11時にピークとなるようにしている。おいしいラーメンづくりを続けることは、日々の研鑽が必要のようだ。
食べ終えると、開店まもなくなのに、食券を買う行列ができている。並んだ人たちの瞳は、評判のラーメンの期待で、キラキラと輝いていた。 |