四国の老舗スイーツ

江戸時代以前の菓子司
 今回は、老舗スイーツの特集だ。四国には老舗の菓子司がずいぶんある。一番古いのは、天正13(1585)年創業の「せと久」。徳島城築城を祝って献上されたという「滝の焼き餅」を提供している。
 江戸時代に創業した店は、藩の御用菓子を納めていたところが多い。砂糖の入手は、輸入に頼っていたため、どうしても藩の力を借りなければならなかったのである。砂糖が自由に使えるようになったのは、江戸時代中期の頃になる。
 香川県には、東さぬき市の「三谷製糖」、和三盆の問屋だったという「吉岡源平餅本舗」、三豊市の「山下おいり堂」、もと旅籠の「灸まん本舗」がある。
 愛媛県には、大洲市の「村田文福老舗」、今治市の「一笑堂」、四国中央市にありながら土佐藩主に菓子を納めていたという「柴田モナカ本舗」、西条市の「めしや菓舗」「星加のゆべし」、西予市の「山田屋」。
 徳島県には、上板町の阿波和三盆を製造している「岡田製糖所」、徳島市の若布羊羹「日の出楼」は街道沿いの菓子司で阿波踊りの囃子唄にも登場する。
 高知県には、香美市の遍路道沿いにある「澤餅茶屋」、高知市にあるケンピづくりの「菓匠西川屋」、土佐市の小夏羊羹「のしや本舗」がある。

老舗の心得
 創業・寛永元(1624)年、愛媛県の大洲市「村田文福老舗」は、厳選された材料を使って「月窓餅」をつくり続けている。先代の教えである「店を大きくするな」に従い、自分の目の届く範囲内で、納得のゆくお菓子づくりを行っている。
 万延元(1860)年創業の三豊市「山下おいり堂」は、ふるさとの文化を継承する婚礼用のお菓子「おいり」をつくる。手間のかかる仕事を、婚礼に欠かせないお菓子づくりに心を配り、幸せのお菓子を届けている。
 明治初(1870頃)年創業の東洋町「浜口福月堂」は、庶民に愛された繭型の薄皮饅頭「野根まんじゅう」をつくっている。先代の教えを守り、厳選された材料をふんだんに使い、地域一番店になった。5代・店主は東洋町から高知市桂浜に新しく店を構えた。「野根まんじゅう」の味は天皇陛下が高知へ来られた際に供用され、表千家の大会のお茶菓子に採用されている。
 大正3(1914)年創業の美馬市「日乃出本店」は、創業者が考案した「ぶどう饅頭」の味を守っている。アイデアマンの創業者が、森永製菓の創業者と出会い、餡にミルクを入れるというアイデアを開花させたものだ。地域への恩返しである「無料茶会」を毎月1時間、開催している。
 これらの老舗に共通するのは、ルーチンワークの繰り返しながら、身を粉にして先代から伝わった味の継承を図っている。老舗と呼ばれるためには、努力と研鑽が必要ということだ。

四国B級ご当地グルメ連携協議会(四B連)
一般社団法人 四B連企画

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