清水哲也(しみず・てつや)
▲エキスを使ったイノシシ料理の例
①原料肉をカット
②ブランチングする
③冷却後、ラミネート袋に調味液とともに充填
④スチームコンベクションオーブンでボイル殺菌
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仙味エキス株式会社
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畜産品に無い、野生の味を伝えたい!

仙味エキス株式会社 研究開発部 清水 哲也

「エキス」って何?

 エキスとは、農・水・畜産物を原料に、精製、濃縮などの工程で原料成分を抽出したもので、食品の美味しさや風味を向上させます。
 私ども仙味エキスは、エキス調味料メーカーです。基本的に食品加工工場向けの製品しか取り扱っていませんが、このたび四B連愛媛支部「イノシシグルメ部会」の商品開発のお手伝いをさせていただくことになり、その流れと、弊社の取り組みを紹介させていただきます。

取り組みのきっかけ

 きっかけは、本年4月に内子町で行われた四B連主催の「イノシシ肉活用研究会」でした。その中で、イノシシアラ(骨)を使用した調味料(エキス)開発と、売れそうにない部位の商品開発を、当方からお勧めしました。イノシシ本体(肉)が売れないことにはエキス原料(骨)も出てこないので、肉とエキスの、バランスのとれた売り方が必要だと考えたためです。
 早速、奥山顧問から連絡がありました。渡邉部会長のご用意いただいた肉は肩ロース。通常の豚ではよく知られている部位ですが、「スジが硬い」と部会長。頂いた肉を少し焼いて食べてみましたが、なるほどホントに硬い。さすが野生だと畏れ入った次第です。この硬さではスライスを使う鍋料理やステーキには向かず、売れないと思いました。
 そこで、「味噌煮」と「ブラウンシチュー」を提案しました。この二品を選んだのは、①硬い肉を煮込んで柔らかくすることができる、②誰でも知っているポピュラーな料理である(人は想像以上に食べ物の嗜好が保守的です)、③脂身が少なく、ヘルシーさを訴えることができることが理由でした。

お客様のご希望にあわせて

 加えて、「鍋で炊かない」という提案もさせていただきました。
 煮物を販売する場合、煮詰まり方を同じにするため、ブリックス計で確認したり、煮詰まった後の全重量をチェックして同じ味を保つ必要があるのですが、今回はその手間をなくすため、レトルト食品の考え方を応用したのです。ラミネート袋に食材とソース(たれ)を充填し、過熱するだけでイノシシ料理ができ上がります。
 調理が殺菌を兼ねているため、衛生上安全なことと、決められた時間加熱すればよいので作業の一定化が図れます。また、職人技のように、舌で味を決める必要もありません。
 原料肉をカットし(写真1)、これをブランチングする(写真2)、冷却後、ラミネート袋に調味液とともに充填し(写真3)、スチームコンベクションオーブンでボイル殺菌(写真4)、冷却・冷凍という工程になります。
 「味が抜けるのになぜボイルするの?」と、ブランチング作業に疑問を感じる方がいるかもしれません。密封された袋の中に生肉を入れて過熱すると、「カード」と呼ばれるタンパク質の白いアクが出て、味も、見た目も悪くなるので、それを防止します。

 ただ、この方法では完全殺菌できないため、常温流通ができません。しかし、レトルト釜もレトルトパウチも要らず、必要最小限の手間で商品化できます。
 各々の材料の特性をもっと知れば、今回のご提案と異なるアイディアも湧いてきます。今後も渡邉部会長と相談の上、色々試していきたいと思います。

最後にひとこと

 弊社では、留め型の調味液やエキスの受注生産も可能ですが、設備の関係上、500キロないし1トンの生産量になります。また、エキス化は、原料が500キロ以上必要です。なお、初回のテスト生産は、ご相談に応じます。
 弊社は、水産・畜産・冷食・惣菜・外食など、あらゆるメーカーと取り引きがあります。鯛養殖業者様向けに鯛の燻製・兜煮、天然鯵の業者様向けに鯵茶漬け、畜産メーカー様に低カロリーソーセージなど、各社のご要望に適した提案をさせていただいております。
 新商品の開発や改良など、なにかお困りのことがございましたら、お気軽にご相談下さい。また、左記HPにも一度お立ち寄りいただければ幸いです。

四国B級ご当地グルメ連携協議会(四B連)
一般社団法人 四B連企画

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