母さん、僕のぼうしは
誰が食べたんでしょうね?
高知県内のパン屋さんならどこでも売っているという「ぼうしパン」。ツバの部分は甘くてカリカリッとしたカステラ生地、胴の部分は普通のパン生地である。このパンを考案したのは昭和2年(1927)創業の永野旭堂だ。
メロンパンをつくっていると、ビスケット生地がなくなってしまい、パン生地にたまたまあったカステラ生地をのせて焼いたところ、カステラ生地が帽子のツバのようになったのがきっかけだという。これを商品化できないかと試行錯誤した結果、昭和33年(1958)から販売を始めた。考案した先代は、パンのつくり方を一人占めにせず、同業者にその製法を伝えた。
高知の子供たちはつば部分を先に食べると、お腹一杯となる。そこで、残ったパンは母親が食べることになるという。「ぼうしパン」は、親子の愛情を深めることに寄与しているのである。 |