小豆島で味わう
魚と醤のコラボ
瀬戸内海・播磨灘に浮かぶ小豆島は、壷井栄の小説を基にした映画「二十四の瞳」の舞台として全国的に知られ、数多く観光客で賑わう。また、素麺、醤油、佃煮、胡麻油、オリーブなどの生産が盛んであり、いずれも日本有数の生産地となっている。
特に、小豆島は魚介類の宝庫。タイやスズキ、ハマチ、タコ、イカ、貝類に加え、アブラメやメバルといった小魚も旨い。そこで、魚料理が評判の『田舎の迎賓館 みさき』を訪ねた。
料理には、地元で水揚げされた新鮮な魚介類を使う。地魚や貝をふんだんに盛り込んだ舟盛りや盛皿は、『みさき』の名物。新鮮な魚だけが持つ極上の旨味とプリプリの歯ごたえが楽しめる。
季節によって提供される魚介類も異なるが、新鮮な食材をご主人の西原大平さんが腕を振るってつくりあげる。炭火で焼きながら食べる「瀬戸の浜焼き」がおすすめだという。
『田舎の迎賓館 みさき』の料理に使われる醤油は地元産。温暖で、降水量が少ない小豆島の気候が醤油の醸造に適していた。
小豆島町商工会は、「醤の郷」小豆島の伝統の味をもっと広く伝えようと、「ひしお丼」を誕生させた。地元食材と醤油やもろみを使うことが条件となるが、自由にアレンジできるので、アイデアと腕がぞんぶんに発揮できる。
『田舎の迎賓館 みさき』では、宿泊プランに魚介類たっぷりの「ひしお丼」がついてくる。美味しいコースの〆の一品というわけだ。
竹生の一本松にある『一軒や れすとらん 野の花』では、オリーブはまち、じゃこ、温泉卵、野菜など、地元の食材がたっぷり入った「ひしお丼」がランチで楽しめる。オーナーは川本幸生さん・るみ子さんご夫婦。美しい自然に囲まれた、おしゃれなレストランだ。
川本幸生さんはもと和食料理の板前で、創作料理を得意とする。和のテイストを活かしながら、積極的に洋の素材を取り入れ、とびきりの美味しい料理を提供する。夜のコース料理は3990円から。小豆島の食材と旬の味を届けたいというオーナーの、こだわりと腕の冴えが創りあげる料理は、地元客や観光客の間で評判となっているので、予約をした方がよい。
草壁港近くにある老舗『ヤマロク醤油』のもろみ蔵は明治初期に建てられ、国の登録有形文化財に指定されている。古い壁や柱、梁や土間には、たくさんの酵母が暮らしていて、それが美味しい醤油づくりに欠かせないという。
小豆島名物というと「そうめん」も欠かせない。安田にある『なかぶ庵』では「生そうめん」が人気だ。そうめんでありながら、独特のコシともちもち感が特徴。麺工場の職人食として食べられていた生のそうめんを再現しようと、開発された。
でき上がったばかりの「生そうめん」を食べると、口の中に広がる小麦の香りやしっかりした歯ごたえに驚くはず。『なかぶ庵』でしか食べられない逸品だ。また、『なかぶ庵』では、手延べそうめんの製造現場を見ることができるのも更なる魅力だ。
小豆島では、島の魅力を「食」で感じてもらおうと、さまざまな計画が進行している。島のあちらこちらを訪ねながら、地元食材を活かしたメニューの食べ歩きも、旅の思い出づくりに最適だ。 |