あんもち雑煮には
甘い愛情が込められている
変わり種の雑煮というと、必ず取り上げられるのが「あんもち雑煮」である。
イリコだしの白味噌汁に丸もち。具には輪切りにしたダイコン、金時ニンジン、面取りしたサトイモが入り、地域によってはアオノリをもちの上に散らす。
白味噌は麹の量の多い甘いものを使い、丸もちには砂糖あんが入っている。まさに、甘いものづくしの雑煮なのである。
普段食べることのできない砂糖をふんだんに使い、ハレの日である正月を祝ったという。「讃岐和三盆糖」の本場でも、砂糖は庶民の口になかなか入るものではなかったのだ。
輪切りにしたダイコンや金時ニンジンには、家族仲良く円満でありますようにとの願いが込められている。丸もちも同様である。サトイモを使うのは、別名の「ヤツガシラ」から人の上に立つ「頭」になれるようにとの願いだという。
年のはじめに食べる「あんもち雑煮」には、縁起かつぎと家族の未来を願う気持ちが込められている。 |