「B級グルメ」は、安価で日常的に食べられている庶民的な飲食物のこと。
このページではA級・B級にこだわらず、
地域の人々に親しまれている食材を使った料理や、
地域の人々から愛されてきた料理の「ご当地グルメ」をご紹介しています。

お客の声で生まれた
箸休めの逸品

 住友の企業城下町のイメージが強い新居浜の味の代表格が「ふぐざく」だ。細切りにしたフグの身と皮にカワハギの肝を添え、ポン酢とネギを添える。皮の食感と繊細な甘みを持つフグの身が、甘酸っぱいポン酢と混じりあって食欲をそそる。
 「ふぐざく」を考案したのが昭和7年(1932)創業の料亭「波満蝶」。昭和14年(1939)、常連客のひとりが手間のかかるフグ刺しを待ちきれず「何でもいいから、噛みごたえのあるものを早く持ってきてくれ」との注文に応え、ぶつ切りの身と皮に酢をかけて出した。これが人気メニューとなり、皮を刻む音から「ざくざく」と呼んでいたが、略されて「ざく」となり、のちに「ふぐざく」となった。
 フグは大昔から食べられており、江戸時代に入るとフグ食は、庶民の間に普及した。当時、フグは「鉄砲」と呼ばれたが、これは毒のあるフグを食べても「なかなか当たらない」と「たまには当たる」のふたつの意味があったようだ。
 明治を迎えると、フグの禁止令が出されたが、伊藤博文はフグの美味しいことを知り、山口県のみにフグを解禁した。
 ふぐを合法的に楽しむためには、戦後を待たねばならなかった。昭和22年(1947)に施行された食品衛生法でフグが食品となり、各都道府県はフグ条例を制定。昭和25年(1950)にフグ調理師試験が発行されるようになって、ようやくフグ料理が食べられるようになった。
 フグの皮は、「皮の湯引き」として食べられるが、キモと一緒にする料理は少ない。他の地方では、「ふぐざく」と注文すると首をかしげられることも多い。「ふぐざく」の美味しさは、新居浜だけでとっておけということなのだろう。

四国B級ご当地グルメ連携協議会(四B連)
一般社団法人 四B連企画

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